Q1 |
そもそも「硫化イブシ」とはどのような仕上げのことか? | ||||||||||||||||||||||||
A |
「硫化イブシ」とは、意匠性の高い銅合金製の建築金物(加工後)の製品表面に硫化ペーストを均等に塗布し、十分乾燥させた後にブラッシングを行い、色の調整をして色合いが安定したところにクリヤーを塗装する仕上げを言います。「乾式硫化」とも言われます。 これに対し、硫化薬液槽の中に製品を漬け込み発色させ、槽からあげたのちブラッシングし色合いを調える製法を「GBメッキ」もしくは「湿式硫化」と呼びます。 「硫化イブシ」は槽の大きさ等に左右されないので大きさや形状にあまり制約されず、液抜き穴なども必要としない為、大型の製品によく利用されます。当社は「硫化イブシ」製法にて建築の内外装金物・カーテンウォール・ドアサッシ・エレベータドアなど幅広く実績を持ち、その高級感は他の金属意匠の追随を許しません。 |
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Q2 |
硫化イブシ」の意匠にする為にはどのような母材を選択したら良いのか? | ||||||||||||||||||||||||
A |
建築材料として黄銅(真鍮)HL材、もしくは丹銅HL材で厚みが1.5㎜の材料がポピュラーです。 金属表面は必ずヘアラインかバイブレーション(3S)のものをご利用下さい。ヘアラインとエッチングの組み合わせも陰影のコントラストがつき、立体感が増します。(香港ペニンシュラホテル・エレベータドアにて実績多数) 金属表面の研磨溝の銅粒子部分と硫化ペーストが反応しますので、鏡面のような表面では発色いたしません。又ブラッシングで色合わせを致しますので、ビーズやブラスト地もHL(ヘアライン)のような仕上がりになります。 上記以外の銅合金であるニッケルシルバーやピンクブロンズ等でも硫化発色は可能です。又ステンレスやアルミ・スチールなどは銅成分がありませんので基本的に硫化イブシは出来ません。ただし硫化イブシ色仕上げなどの硫化調の特殊塗装は可能です。テクスチャーは多少違いますので、見本等でご確認下さい。 |
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Q3 |
どのような工程をふんで「硫化イブシ」が行われるのか? | ||||||||||||||||||||||||
A |
製造工程の概略を表にしました。
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Q4 |
溶接した箇所は硫化発色するのか? 硫化イブシ処理をした後に溶接や切断・曲げ・穴あけ等の後加工は出来るのか? |
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A |
溶接した箇所の上に硫化処理をした場合、その箇所は硫化反応が起こりにくく全体に色が薄いか、全く色が発色しない場合があります。又硫化処理したものはクリヤー塗装を行いますので、溶接や切断・曲げ・穴あけ等は必ず硫化処理前に行って下さい。 硫化処理後の加工は硫化やクリヤーの焼けや剥離の原因となります。 |
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Q5 |
硫化イブシの色合いはずっと変化しないのか? | ||||||||||||||||||||||||
A |
硫化イブシ処理させた表面も経年変化により褐色から暗褐色、さらに黒褐色になり、やがて緑青色へと変化をします。クリヤー塗装は一時的な変色対策であり、硫化イブシも長期的には上記のような変化を起こします。 太陽光線や雨などの影響が少ない内装においては、この変化はより遅いものとなります。 |
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Q6 |
硫化処理した後にクリヤー塗装を必ずしなければならないのか? | ||||||||||||||||||||||||
A |
当社では必ずクリヤー塗装をさせて頂きます。クリヤーは表面硫化被層の保護や、早期変色(酸化)の防止等さまざまな役目があります。クリヤーをしていないと取り付け時の作業者の手跡・指跡などが表面に残り、その部分だけが黒く変色したりしますのでお勧めできません。 | ||||||||||||||||||||||||
Q7 |
真鍮の角パイプもしくはFBと丹銅の板材の組み合わせで使用したいが、硫化イブシを行えば色はそろうのか? | ||||||||||||||||||||||||
A |
基本的に母材が相違するので色合いが同一にはなりません。但し硫化イブシの中濃色か濃色を選択した場合には、その色差に多少違和感はなくなります。 | ||||||||||||||||||||||||
Q8 |
現場でキズをつけてしまって素地が見えている。どうすればよいか? | ||||||||||||||||||||||||
A |
キズの程度にもよるのですが、小さいキズに関してはメタリック近似色で現場塗装補修をして下さい。 パテ等は出来ませんのでキズがひどい場合はご連絡下さい。 |
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Q9 |
光栄プロテックの「硫化イブシ色仕上げ」とはどのような仕上げのことか? | ||||||||||||||||||||||||
A |
銅合金に施される硫化イブシの風合いをステンレスやスチール・アルミの素材の仕上げとして追求・近似再現したのが「硫化イブシ色仕上げ」です。 銅皮膜をスプレーコーティングし、HL加工したのち本硫化と同じ乾式硫化ペーストを塗布しますので、硫化イブシに近い色合いやHLが仕上がります。 ただし銅合金を酸化させた「硫化イブシ仕上げ」は色合いを光の干渉にて発色させているので金属感がありますが、「硫化イブシ色仕上げ」はあくまで近似の色合いとHLが平面的に再現されているとご理解下さい。 |
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Q10 |
「硫化イブシ色仕上げ」は塗装なので錆びないのか? | ||||||||||||||||||||||||
A |
銅成分の皮膜をスプレーコーティングしているので、硫化イブシと同様に経時変化をいたしますし、設置箇所によってはあばた状の錆が発生する場合があります。 |
Q1 |
真鍮と丹銅はどう違うのか? |
A |
銅と亜鉛の合金を黄銅(真鍮)といいます。配合割合が7:3や6:4他などがあります。又銅割合が8~9のものを色調の上から丹銅と呼んでいます。 銅成分が多いほど赤色を帯び、金属的にも柔らかいものになります。同じ真鍮でも黄色味が強かったり、硬さが違ったりするのは銅成分量の違いによります。 10円玉より5円玉が硬くて黄色いのはそういう理由からです。 |
Q2 |
銅合金の取り扱いで注意する点は? |
A |
建築金物の意匠品という観点からお答えしますと、銅合金は全て空気や水分・太陽光などの影響を受けて経時変化(変色)を起こす金属です。特に赤褐色に変色するのは亜酸化銅(Cu2O)や酸化銅(CuO)を生成する為です。又母材表面を素手で触ると指紋などの形が濃褐色で残ります。なるべく養生保護シートを剥がさないように加工して下さい。 万が一指紋や変色などが母材等に発生したら、HL材であれば再度HL加工したり、鏡面材であったら再度鏡面加工するなどして表面を一皮剥くように表面研磨して下さい。溶接にて変色した場合も同様です。 尚ステンレスやスチールなどと比べると金属的に柔らかいですので取り扱いに注意するよう心掛けて下さい。 |
Q3 |
銅合金の経時変化についてもう少し詳しく教えて下さい |
A |
10円玉をイメージして頂ければ分かりやすいと思いますが、出来たてはきれいな銅色なのに使用していくと徐々に褐色から暗褐色へ変化していくと思います。 建築金物の銅合金も意匠品の場合急激な色彩変化を嫌いますので、クリヤー塗装や硫化イブシ処理を行い、色調の変化を緩やかなものにしていきます。 銅合金の色調変化(変化の速度は諸条件により大きく異なります) 橙色 ・ 黄金色 ⇒ 飴色 ・ 褐色 ⇒ 暗褐色 ⇒ 黒褐色 ⇒ 緑青色 (クリヤー塗装) (硫化イブシ仕上げ) (緑青仕上げ) |
Q4 |
銅合金をクリヤー塗装すれば経時変化は止められるのか? |
A |
クリヤー塗装は変色抑制の一つであり、酸化や色調変化を止めれるものではありません。 |
Q5 |
銅合金を船便にて輸出する場合の留意点は? |
A |
酸素と70%以上の相対湿度の元で、酢酸等を含んだ木材スキットで「蒸気腐食」が引き起こります。
「カレ・クリ」などの木材は酢酸や蟻酸を含んでおり、こういった材木で梱包すると錆びが発生せいやすくなります。又保護テープ等も粘着成分が湿度・温度に耐えられるかどうか、テープメーカーと実績を踏まえて相談して下さい。 保護テープを手貼りして、製品とテープの間に空気が残った箇所も又酸化の原因となりますのでご注意下さい。 |
Q6 |
銅合金のシート(板)材で波模様のような変色が見られるが、これは何が原因か? |
A |
温度が30℃~40℃・湿度が75%以上になると保護紙の影響を受けて波模様(紙のしわ)がでます。 又荷重(指触圧)が50g/?以上かかると変色の発生率がさらに高まります。母材の保管状態や温度・湿度に留意して下さい。 このような波模様のついた母材に硫化イブシを行いますと、波模様は消えてキレイな硫化イブシ発色が仕上がりますので後加工で硫化イブシを行う場合は問題ありません。ただしクリヤー塗装など母材の意匠をそのまま生かす場合は再研磨を行い、酸化した一皮を剥くような加工が必要となります。 |
Q1 |
クリヤーとは何か?又どのような種類があるのか? |
A |
樹脂の中にエナメル顔料を入れない透明な樹脂塗装皮膜のことで、木部に塗る透明のニスなどがよく知られています。透明な樹脂のために生地を生かす仕上げに用いられ、金属製品に関してはラッカー系・アクリル系・メラミン系・ウレタン系・シリコンアクリル系・フッ素系などの樹脂塗料があります。 用いられる場所やグレード・内容等に応じて使い分けされます。フラットベース剤(艶消し剤)を添付することで艶を抑えたマットな仕様も可能です。 |
Q2 |
ステンレス材にクリヤーをする意味は何か? |
A |
ステンレスは一般的にスチールの普通鋼板やアルミニウムと比べ、はるかに耐食性に優れていますが、金や白金などと違って絶対に「錆びない」金属ではありません。ステンレスが錆びにくいのはクロムが酸素と結合して表面に不動態皮膜を形成し、この皮膜が「錆び」を防いでいるからです。 よって何らかの原因でこの皮膜が破壊された場合に「錆び」が発生するのです。 この破壊物質は下記のものと考えられています。 1)塩素イオン(塩分・塩化ビニール等の焼却時の煤煙・塩酸等) 2)硫黄酸化物(自動車の排気ガス・工場等の排気ガス等) 3)粉塵などの堆積 つまり、これらの物質からステンレス素材を守る事が錆びの進行を止めることとなります。その為にいろいろな方法がありますが、その選択肢の一つがクリヤー塗装となります。 ステンレスの表面に有機質の塗装皮膜を施し、前述した物質が表面に付着して錆を呼び込まぬように遮断する為です。ただし、密着性などの問題もありますので実績ある業者とご相談下さい。 |
Q3 |
クリヤーは全て透明なのか? |
A |
違います。 透明樹脂の中に顔料などを混ぜて真鍮色・ブロンズ色・グレー色などのカラークリヤーが可能です。色付けの濃淡は塗装回数により色に深みを出しますので微妙な色合いは出せますが、あまり濃い色は吹きムラが目立ちやすく、まだら模様になりますのでご注意下さい。見本作成は十分ご相談のうえ、ご採用願います。 |
Q1 |
そもそも「本緑青」とはどのような仕上げのことか? 又、どんな生地を使ったらよいか? |
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A |
寺社や仏閣などの屋根や銅樋などの銅や銅合金(真鍮・丹銅等)が雨や経年などにより酸化して発生したその緑色の錆が「緑青」です。 雨などの水分がない所では黒褐色の錆である場合が多いのですが、とくに水分の多い外部では緑色のあざやかな緑青が数年、数十年にかけてあらわれます。 この日本の古来からしたしまれた緑青を、特殊な製法で短期間に発生させ本物に近い風合いに仕上げたのが、当社「緑青仕上げ」です。 銅を使用すると非常にあざやかな緑青が発生します。 真鍮を使用しますと、おちついた渋い緑青が発生します。 |
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Q2 |
短期間とは、どれぐらいを考えたらよいのか? | ||||||||||||||||||||||||||||||
A |
成型完了後の生地をお預かりして(物量や工場入荷日にもよりますが)10日間程度の日数が必要となります。(別途ご相談下さい) 仮に数点であっても、この程度の日数は確保下さい。 |
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Q3 |
どのような工程をふんで「本緑青」が行われるのか? | ||||||||||||||||||||||||||||||
A |
製造工程の概略を表にしました。
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Q4 |
緑青面にコーキング施工用の養生テープを貼ってコーキング完了後、テープを剥がす際に緑青がはがれて銅の地金が出てきた。 粘着性のあるテープを緑青面に貼ると問題があるのか? |
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A |
緑青仕上完了出荷後6ヶ月程度の間は緑青仕上が熟成し、硫酸銅から少しずつ塩化銅に促進、生成される期間です。 この間の皮膜は密着に関して不安定で少しの粘着テープでも剥離する可能性があります。極力、粘着テープを緑青面に貼らぬようにご配慮願います。 |
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Q5 |
工事現場で銅屋根を施工したのだが、現場で「本緑青仕上げ」はお願いしてできるのか? | ||||||||||||||||||||||||||||||
A |
当社では、使用する薬品の環境上の問題から現地施工は一切行っておりません。 補修の場合はタッチアップ(近似色)か、ボカシ塗装にて施工しており、薬品を使用することはありません。 |